住宅でよく使われる屋根のコロニアル葺きです。
スレートと呼ばれることもありますが、窯業系(セメント系)の材料なので徐々に風化(劣化)してきます。
本当に少しずつの変化なので、住んでいる方は茂木先生のアハ体験並に気づきません。
これは建物全般的に言えることなので、コロニアル屋根に限った事ではありませんが、この写真のようになると結構風化が進んでいます。
【 コロニアル葺き屋根の劣化 】
まず、屋根本体の色あせが始まってきて、コケが生えたり、屋根自体のヒビが入っていきたり、取り付けている役物(板金)が白い粉を噴いてきたり(チョーキング現象)、板金が錆びたり 等々
いろんな、症状が出てきます。
が、建築関係の仕事に携わる人でないと大抵の場合は気づきません。
ご心配であれば、お気軽にご相談頂ければと思います。
【 コロニアル葺き屋根の改修(リフォーム)工事 】
< 完全葺き替え >
既存の屋根をめくり新しい屋根を葺く工法です。
屋根だけでなくその下地から直さないといけない場合に行います。
但し。
費用や、屋内の養生(保護)の関係上、実際にこの工事を行うケースはとても少ないです。
< 塗 装 >
既設の屋根はそのまま、コロニアルの上から塗装する工法です。
下記のカバー工法同様、居住したままでの施工が可能で、費用や工期が早いです。
費用面では、他の<完全葺き替え><カバー工法>に比べて、一番安いですが、施工後のメンテナンスは短いスパンで必要になります。
一般的には、施工後、5年~10年で再度改修(リフォーム)される施主様が多いです。
< カバー工法 >
<塗装>と同様、既設の屋根はそのままで、その上へ材料の軽い板金屋根等を被せる工法です。
既設の屋根の上にカバーをしてしまうので、既存の屋根の痛みの影響が皆無になり、尚且つ仕上がりは新品になります。
工事後のメンテナンスは長期不要になります。
既存の屋根はそのままですので、<塗装>と同様、居住したままでの施工が可能です。
(仮設足場等で多少の影響は出てしまいます。)
完全葺き替え | 塗装 | カバー工法 | |
工事中の居住 | × | ◎ | ○ |
工期 | × | ○ | ○ |
コスト | × | ◎ | ○ |
メンテナンス | ◎ | △ | ◎ |
【 コロニアル屋根について 】
あくまで個人の意見として、
第一印象として、基本建売の屋根に使われているように基本安いイメージがあります。
ただし、洋風の建物など平瓦の屋根が好きであれば選ぶのもアリだと思います。
材料としては、基本セメント系の母材に色を付けている材料です。色のつけ方や、コーティング材が開発して耐候性は上がったりしているようです。
ですが、自分の知る限りでは、カタログ上は30年経っても色の変化がわかりにくいとされていますが、10年~15年を過ぎてくると、色があせてきて、コケや水垢などの経年劣化が目立つようになってくると思います。
現在での話なので、今の新商品はわかりませんが、 更に時間が経つと、屋根に乗ると割れやすくなったりします。
カタログに沿って話をすすめると、強さが長持ちとありますが、今まで、使われていた物の印象は、年が経てば反ったり、ヒビが入ったり(角が欠けたり)していると思います。
実物の強度については、280Nとありますが、わざわざ、割るかも知れない屋根を番木をかって、その上に30kg近いものを置こうとは思わないです。
普通構造用合板の上に敷き込むので、よくわかりませんが、重ねて屋根を葺くので、6mm程度(材料の厚み分)の段差ができるので書いてあるのかもしれませんね。
自分としては体重が80kg近くあるので逆に大丈夫か心配になります。
表面の強さは材料的にはセメント板と同じようなものなので、コーティングもされ表面は固くて強いと思います。
雨に強い!
とありますが、雨に弱い材料を屋根には基本使いません。
例外として、茅葺き、桧皮葺、杮葺き(こけらぶき)など、意匠的な趣向が強い屋根もあります。
昔は、材料の調達など地域的なものも含まれていたと思います。
火災に強いに対しては、セメントなので強いと思います。
熱伝導率は瓦と同等となっています。
板金屋だから言うわけではありませんが、熱を通しやすいものは、早く暑くなって早く冷える。
逆もまた然りで、熱くなりにくい(反射等で熱を逃すものではない)材料は抵抗が大きい分熱くなるのも遅い分、冷えるのも遅いと思いますので、新築であれば、熱くなったものをどうするかを考える事と、熱を建物内へ入れないようにすることを考えるといいと思います。
改修の場合は、構造体に手を加えるのは、費用もかかるし、大掛かり工事になることが多いので、表面での対処をすることのなると思います。
遮音性については、単体では、瓦やコロニアル屋根は強いと思います。
重さについては、薄い分、瓦より軽いですが、板金よりか断然重いですので、建物の頭を軽くするなら板金を選びます。
総評として、
耐久性としては、瓦はいぶし瓦など超長期的に使えるものと違い、10数年で塗装か、カバー工事などのメンテナンスが必要な材料です。
建売住宅などで大量に使われたため、カバー工法や塗装など多彩な修繕方法があるので、メンテナンスには困らない屋根です。